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ドイツ環境スタディツアーの巻き

《旅後》
技術はあるけど社会政策がない国・ニッポン!

◆広域化+原発+RDF 3つの神話が崩壊する!

 2003年8月は、エネルギー業界の神話を崩壊させる出来事が3つも起きました。

 ニューヨークなど北米東部で、広範囲の大停電が起きました。日本の関東地方でも、原発トラブルなどを理由に電力不足が叫ばれました。さらに、三重県や広島県福山市のごみ固形燃料(RDF)発電所で事故が起こりました。

ウルム市で行われたエコメッセ会場。挨拶するウルム市長は「我々の街はドイツで最もソーラーパネルが普及している!」と胸を張っていました。そういう市長って、日本にいます? こうして3つのエネルギー神話は、ついに崩壊を迎えました。

@ 電力供給の広域化という神話

 大規模に発電して、なっが〜い送電線を使って広範囲に電力を届ける。この方法は、実に無駄もリスクも大きい。送電する間にほとんどの電力が喪失するワ、発電所がトラブれば広範囲で大停電が起こるワ、踏んだり蹴ったりです。

A 原子力発電という神話

 日本でも、新潟や東北の原発から、なっが〜い送電線をつたわせて東京まで電気を運んでますよね。東京に着く頃、電力量は3分の1ぐらいになっていますよ。東京湾に原発を造れば、ずっと効率的なのに、それはゼッタイしないでしょ? 危険だからですよ。

 ためしに原発のリスクを引き受ける保険会社を探してみましょう。そんな保険会社、ありません。だって事故のリスクは無限大ですから。

 だから、ちょっとでもトラブルがあればストップする。それが嫌だから隠そうとする。でも今回分かったでしょ? 原発がなくても、関東の電力は大丈夫なんですよ。東京電力が原発再開をもくろんで誇大広告を打った事実も、いずれ明るみになるでしょう。

B RDF発電という神話

 世界中で事故続きのRDF発電を、日本では「夢のリサイクル」ともてはやしていました。しかし、その(悪)夢もついに現実になってしまったわけです。RDF発電は、実は大量のエネルギーを浪費し、しかも折り紙つきの危険性を持っていたのです。

 神話は崩壊しました。じゃぁどうすればいいか。私たちが今回のツアーで見学したバイオガス、バイオマスなどの再生可能エネルギーは、そういう意味で、いま最も現実的な道といえるでしょう。


エコメッセ会場で見かけた、セントラル・ヒーティング用のボイラーです。石油を使わず、木質のチップやペレットを燃料にすることで、我が家も気軽に「バイオマス暖房施設」に♪◆エネルギーと食糧。2つの安全保障

 そもそも再生可能エネルギーが現実的というのは、エネルギー安全保障という考えからです。

 みなさんが今、パソコンをいじるのに使っている電気。これはたいがい、石油か原子力じゃないでしょうか?

 しかし考えてみれば、石油や原子力というのは、非常にリスクが高いわけです。輸入による価格変動が激しい石油や、ひとたび事故やトラブルが起こるとストップしてしまう原子力に依存すると、いざというとき電力不足を招きます。電力供給の広域化がリスクが高いのも、前述したとおりです。

 それに比べて再生可能エネルギーは、原料が手近にあるため価格変動のリスクが小さいのです。また小規模の施設でも効率よく発電できますから、広範囲の停電というリスクも小さい(例えば屋根にソーラーパネルをつければ、街中が停電しても我が家は安心!)。エネルギーの安全保障という観点から見れば、まさに優等生です。

 もうひとつ、特に農業用バイオガス発電には、食糧安全保障という観点があります。

 BSE問題の教訓として、EUは農作物のグローバル化はリスクが高いという考えに傾きつつあります。1箇所で作った野菜を世界中が食べてたとして、そいつが有害物質に汚染されていたとしたら…? だから食糧の安全保障を確保するために、少し無理をしても国内の農家を守ろうとしているのです。

 でもあんまり無理はできませんね。補助金じゃぶじゃぶで農家のジリツを損なうのも困る。そこで電力生産を副業で行う農家(=エネルギー農家)という発想にいたるわけです。


◆なぜバイオガス/バイオマス発電は順調か?
 再生可能エネルギー法の存在

 というわけで、私たちがドイツで目撃したバイオガス/バイオマス発電施設は、その多くが農家などの個人所有でした。それが可能なわけを、次に説明しましょう。

 それは、「再生可能エネルギー法」(自然エネルギー法)が鍵になります。

 ソーラー発電や風力発電、バイオガス、バイオマスなど、“自然界の利子”を使った電力は、化石燃料(=“自然界の元金”)を使った電力に対して再生可能エネルギー(自然エネルギー)と呼ばれています。ドイツではその電力を、地域の電力会社が、法律によって定められた金額で買い取る仕組みになっています。

 大雑把に言えば、次のような流れです。

再生可能エネルギー法の仕組み

(大雑把版)

ソーラー、風力、バイオガス、バイオマスなどの再生可能エネルギーの発電施設を造る
(施設の建設費など、最初はけっこう金がかかる)

その発電施設で電力を生産する

まずは自分のところでその電力を消費する

余った電力を電力会社が高価買い取りをする
(だから発電施設のオーナーは十数年でもとがとれちゃう)

電力会社は、それで赤字になっては困るので、一般の電力料金に“広く浅く”上乗せする

結局は電力を消費する一般市民が“広く浅く”負担する

 この法律には、再生可能エネルギーの促進は全消費者の責任という思想を感じますね。

「歩行者優先」の標識。いたるところで見ます。ドイツの街は歩行者に優しい。都市では駅前から商店街にかけて、歩行者天国になっているのが普通です。だから商店街も活気あるし、地域のコミュニケーションもはぐくみやすいのかなぁ。
 しかも面白いのは、これが一時的な法律ということです。売電価格は年を追うごとに切り下げられていき、20年後には他の発電と同様になるよう定めてあります。その20年の間に一気に再生可能エネルギーを普及させれば、技術革新が進んでプラント建設費などのコスト削減に結びつくはずです。だから今は一時的に高い売電価格を保障して、将来性豊かな環境ビジネスの発展の近道を作ったのです。

 市場原理を緻密に利用した、非常にアタマのいい法律だなぁ、と思いますね。

 いまや環境ビジネスは雇用創出源です。ドイツでは、環境産業で働く人の数が、自動車産業で働く人の数を上回っています。日本も不況だからこそ環境ビジネスを発展させるべきだと思います。


◆技術立国ニッポンが、なぜドイツになれないのか?

 技術立国ニッポン。特にソーラー発電の技術は世界一です。ハイブリットカーや燃料電池もトップランナーは日本企業ですし、バイオガスやバイオマスに関しても、潜在能力は高いでしょう。

 「ドイツは進んでいる」といっても、技術に関しては日本は劣っていないのです。

 ではなぜ日本は「環境先進国」になれないのでしょうか? それは技術はあるけど政策がない国だからです。石油と原子力とRDFを必死に追い求める「社会主義政策」によって、日本の未来は閉ざされています。行く先は慢性的な電力不足、それによる産業力の低下、環境悪化による自然回復コスト&医療コストの未曾有の増大… こんなの、誰が望むでしょうか?

 エネルギーの安全保障を確保し、雇用を促進し、生活の質を向上させる再生可能エネルギー。きっと、沈みかけたニッポンの再生可能エネルギーにもなるはずです!
 

2003年9月1日(月) 坂田光永


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《ドイツの現状と環境政策》 まずは予備知識。ドイツは脱石油エネルギー&脱原発を目指します
《生ごみバイオガス発電施設》 「エネルギーを使って処理」は古い! 生ごみからエネルギーと利益を生み出す!
《農業用バイオガス発電施設 -大規模編- 》 農業を救え! 必殺、エネルギー植物
《農業用バイオガス発電施設 -小規模編- 》 小さくてスイマセン(笑)。有機農業と発電やってます
《木質バイオマス発電施設》 出ました「地域暖房」! 電気とお湯のバリューセット!
《おまけ》 楽しいたびの思い出は、ぼくらの再生可能エネルギー
《旅後》 技術はあるけど社会政策がない国・ニッポン!

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○外務省ホームページ「各国・地域情報 ドイツ連邦共和国」

《分からない環境用語を調べたい方は…》
○EICネット 環境情報案内・交流サイト<環境用語>